コラム
勤続年数は住宅ローンに影響する?転職で審査に通るケースも紹介
この記事では、勤続年数は住宅ローンに影響するのか解説していきます。
住宅ローンの審査を申し込んだとき、金融機関が審査基準の1つとしているのが勤続年数です。ローン返済を安定的に行えるかどうかを確認するために、金融機関は借入希望者の勤続年数などさまざまな項目をチェックします。
この記事では、勤続年数が住宅ローンに与える影響に加え、勤続年数が短くても住宅ローン審査に通るケースや組む方法について解説していきます。転職してからまだ間もない人で住宅ローンの審査に申し込む予定のある人は、ぜひ最後までお読みください。
【この記事でわかること】
・勤続年数を住宅ローンの審査項目にしている金融機関は多い
・勤続年数が短くても住宅ローン審査に通るケース
・勤続年数が短い人が住宅ローンを組む方法
・【ケース別】住宅ローンと勤続年数の影響
勤続年数を住宅ローンの審査項目にしている金融機関は多い
勤続年数を住宅ローンの審査項目に使用している金融機関は多く存在します。
下表は国土交通省が令和3年度に調査した、民間住宅ローンで融資を行う際に考慮する項目上位10個と割合です。
項目 | 割合 |
完済時年齢 | 98.9% |
健康状態 | 98.5% |
担保評価 | 97.6% |
借入時年齢 | 97.1% |
年収 | 95.0% |
返済負担率 | 94.6% |
勤続年数 | 94.5% |
連帯保証 | 94.5% |
金融機関の営業エリア | 92.2% |
融資可能額(融資率)1.購入の場合 | 75.8% |
※参考:令和3年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書(令和5年3月31日 訂正)|国土交通省
勤続年数を考慮して融資する金融機関は、94.5%(令和3年度)という結果となり、完済時年齢や健康状態と同様、非常に重視されている項目といえます。
以下では、勤続年数の一般的な目安について解説していきます。
勤続年数の一般的な目安
国税庁が行った令和4年分民間給与実態統計調査によると、平均勤続年数は12.7年(男性14.3年、女性10.4年)でした。平成30年から令和4年まで、平均勤続年数は12年台を維持しています。
また、国土交通省が行った令和3年度 民間住宅ローンの実態に関する調査では、金融機関が融資する際に目安とされる勤続年数は以下の通りです。
目安とする勤続年数 | 回答した金融機関(回答数1035) |
3年以上 | 189 |
2年以上 | 58 |
1年以上 | 629 |
その他 | 195 |
※参考:令和3年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書(令和5年3月31日 訂正)|国土交通省
上記のように、金融機関が融資する際に目安とする勤続年数は「1年以上」が一番多い結果となっています。
勤続年数が短くても住宅ローン審査に通るケース
1年以上の勤続年数があれば、金融機関のローン審査に通る可能性があります。勤続年数が短くても住宅ローン審査に通る主なケースは以下の5つです。
・転職後の年収が高い
・大手企業に転職している
・転職の目的がキャリアアップである
・弁護士や税理士などの士業へ転職している
・グループ会社へ出向している
ここでは、それぞれのケースについて解説します。
転職後の年収が高い
転職後の年収が高い人は、勤続年数が短くても住宅ローン審査に通りやすいでしょう。
厚生労働省がまとめた令和5年版 労働経済の分析によれば、転職してから2年が経過すると転職前と比べて年収が大きく増加する傾向があります。3年前と比べて年収が100万円以上増える人も存在します。
年収が増える可能性が高ければ、住宅ローンの返済も順調に行えるため、転職後の年収が高い場合は勤続年数が短くてもローン審査に通る確率が高まるでしょう。
大手企業に転職している
雇用先の規模も審査項目の1つであるため、大手企業に転職している場合も審査に通りやすいといえます。
大手企業は中小企業より経営基盤がしっかりしているため、社員の経済状況も安定していると見られるからです。住宅ローン返済を滞納する可能性が少ないと判断されます。
大手企業は給与が高く福利厚生なども充実しており、長期的に勤務する可能性が高いため、金融機関も信頼感を得られます。
転職の目的がキャリアアップである
勤続年数が短くても転職の目的がキャリアアップである場合は融資が通る可能性があります。これまでのスキルや実績を活かして新たなステージに飛び込むなど、前向きな転職ならば心配はそれほど大きくありません。
十分な収入を確保できるキャリアアップ転職ならば、住宅ローンの審査で有利になるケースもあります。
弁護士や税理士などの士業へ転職している
転職する職業が弁護士や税理士などの士業であるケースは、勤続年数が短くてもそれほど問題ありません。専門的な分野の仕事であるため、むしろ金融機関に良い印象を与えることも考えられます。
ただし、独立の場合は自分が経営者になることもあり、安定した収入を得られる可能性が低いと見なされるケースがあります。代表として経営する場合は、実績や独立してからの年数で評価されると考えましょう。
グループ会社へ出向している
以前の勤務先のグループ会社に出向した場合、「転職」と見なさない金融機関も存在します。勤務先の都合でグループ会社に人員を移動する場合は、実質的に同じ企業で働いていると判断されることが多いようです。
ただし、会社の規模が以前より小さいグループ会社への出向は、年収が下がる可能性があるため、金融機関に良くない印象を与えるケースも考えられます。
勤続年数が短い人が住宅ローンを組む方法
住宅ローンの審査は勤続年数だけで重視するわけではないため、転職してから間もない人でも審査に通る可能性があります。
勤続年数が短い人が住宅ローンを組む方法としては、以下の5つが挙げられます。
・保証人を立てる
・ペアローンを検討する
・借入希望額を少なめに設定する
・前職の勤続年数と合算できないか相談する
・フラット35を利用する
ここでは、勤続年数が短い人が住宅ローンを組む方法について解説します。
保証人を立てる
保証人を立てることで、住宅ローンを組みやすくなる可能性があります。
多くの金融機関では審査に通るための条件として、保証会社からの保証が得られることを挙げています。そのため、住宅ローンでは保証人は原則不要です。
また、金融機関は担保として物件に抵当権を設定するため、万が一、住宅ローンの返済ができなくなったときは競売などで貸付金を回収します。
ただし、連帯保証人を立てると、住宅ローンの借入可能額が増える場合があります。保証人を立てることにより、希望融資額の審査に通る可能性が高まるでしょう。
なお、連帯保証人になれるのは、基本的には同居している配偶者や両親のみです。また、年齢や収入が金融機関の審査基準を満たしていることが条件です。
ペアローンを検討する
ペアローンとは、夫婦または親子が1つの物件に対しそれぞれ契約者として住宅ローンを組む方法です。1つの物件で2人がそれぞれ住宅ローンを組むため、1人で借りるより融資額を増やせるケースもあります。
共働きの家庭は、ペアローンを検討するのもよいでしょう。夫婦の一方の勤続年数が短くても、もう一方の収入が安定していれば希望融資額を借りられる可能性が広がります。
借入希望額を少なめに設定する
借入希望額を少なめに設定することも、住宅ローンを組める可能性を高める方法の1つです。
金融機関は住宅ローン審査で申込者の勤続年数をチェックします。他の要素とも照らし合わせて審査するため、勤続年数が短いからといって審査に通らないとは限りません。
しかし、転職してから日が浅いうちは経済状況が安定しているとはいえないため、借入希望額を少なめに設定するほうが審査に通りやすいと考えられます。
現在の収入で無理なく返済できる金額で借入額を決めましょう。
前職の勤続年数と合算できないか相談する
勤続年数が短い場合は、前職の勤続年数と合算できないか相談するのも1つの方法です。特に、キャリアアップでの転職や大手企業への転職に成功した人は、有利になる可能性があります。
金融機関の担当者に、転職の経緯や現在勤務している会社の状況などを伝えましょう。
フラット35を利用する
民間の金融機関ではなくフラット35を利用することで、住宅ローンを組みやすくなるでしょう。
フラット35は住宅金融支援機構が提供している住宅ローンで、全国300以上の金融機関と提携しています。フラット35の主な申込要件は以下の通りです。
・申込時の年齢が満70歳未満
・日本国籍の方、永住許可を受けている方または特別永住者の方
フラット35の要件では、勤続年数に関するものはないため、転職後の勤続年数が短い場合でも借入できる可能性があります。勤続年数が短い人は、フラット35で借入を検討しましょう。
※参考:【フラット35】ご利用条件:長期固定金利住宅ローン 【フラット35】|住宅金融支援機構
【ケース別】住宅ローンと勤続年数の影響
金融機関のチェックポイントには勤続年数も含まれているため、住宅ローンを借入する際は、少なからず影響することも懸念されます。ここでは、ケース別に住宅ローンと勤続年数の影響について解説していきます。
・自営業の場合
・勤務先が倒産してしまった場合
・会社都合で退職を余儀なくされた場合
順番に見ていきましょう。
自営業の場合
自営業の場合は公務員や会社員と比較すると、住宅ローンの借入が難しい場合があります。一例として以下の要件が挙げられます。
・事業の継続が2〜3年以上
・2年平均の所得が300万円以上
自営業になってから3年以下の場合は住宅ローンの審査に通らないことも考えられます。
また、自営業の場合は安定した収入があるかどうかも審査されるため、直近3年分で赤字を出さないことも必要条件です。
勤務先が倒産してしまった場合
自己都合ではなく、勤務先が倒産してしまったため転職を余儀なくされるケースもあります。
勤務先が倒産したのは自分のせいではありませんが、一般的な転職と同じ扱いになるため、住宅ローンの審査に少なからず影響があるでしょう。
審査には通っていた場合も、勤務先が倒産したことにより融資実行が取り消される可能性もあります。勤務先が倒産してしまった場合は、金融機関の担当者に相談してみましょう。
会社都合で退職を余儀なくされた場合
リストラなどの会社都合で退職を余儀なくされた場合は、転職後1年以上が経過してから住宅ローン審査を申し込むと良いでしょう。
転職先で安定した収入が見込めると、審査が通る可能性があります。なるべく頭金を用意して、無理なく返済できる印象を与えておきましょう。
住宅ローンと勤続年数に関するよくある質問
ここでは、住宅ローンと勤続年数に関するよくある質問に回答します。
・住宅ローン審査で勤続年数をごまかすとバレる?
・勤続年数が1年未満だと住宅ローン審査に通らない?
・住宅ローン審査時に勤続年数を間違えたらどうする?
疑問の解消にお役立てください。
住宅ローン審査で勤続年数をごまかすとバレる?
住宅ローン審査で勤続年数をごまかすと、金融機関にバレてしまうおそれがあります。
バレてしまう主な理由として、以下が挙げられます。
・社会保険証の資格取得年月日と勤続年数が合致しない
・源泉徴収票の退職日でバレてしまう
社会保険証の資格取得年月日は原則入社日となるため、告知した勤続年数が資格取得年と一致していないと事情を聞かれるケースがあります。住宅ローン審査時の提出書類には保険証も含まれるため、ごまかしてもバレると考えておきましょう。
源泉徴収票には退職日を記載する欄があるため、前年度に退職した場合も金融機関にバレてしまいます。源泉徴収票も審査時に提出が必要な書類です。
住宅ローン審査時には収入や勤務先を証明する書類を提出するため、勤続年数をごまかそうとしてもバレてしまう可能性が高いといえます。
勤続年数が1年未満だと住宅ローン審査に通らない?
住宅ローンの審査基準の1つである勤続年数は、少なくとも1年以上であるとされています。
しかし、勤続年数が1年未満だからといって住宅ローン審査に通らないわけではありません。なぜなら、審査では完済時の年収や健康状態、担保評価、借入時の年齢などさまざまな項目を総合的に考慮して判断するからです。
仮に1度審査が通らなかったとしても、1年後に再審査するときには通る可能性もあるため、安定的にローンを返済できる状況にしておきましょう。
住宅ローン審査時に勤続年数を間違えたらどうする?
故意ではなく、単なるミスで勤続年数を間違えてしまうこともないとは限りません。事前審査が通っても本審査で落ちる主な理由には申告内容の不備があるため、書類を記入する際には細心の注意が必要です。
万が一、勤続年数の書き間違えに気づいたら、すぐ金融機関に伝えましょう。事前審査の段階ならば、訂正してくれる可能性もあります。
勤続年数は審査の重要項目であるため、正しい情報を記載してください。
住宅ローン審査では勤続年数以外の要件も重要
住宅ローンの審査では、完済時の年収や健康状態、担保評価などさまざまな項目を考慮した上で融資の可否を決めます。勤続年数も重要な項目の1つですが、他の要素も含めて総合的に判断されるため、勤続年数が短くても審査に通る可能性があります。
大切なのは、金融機関から信頼されることです。住宅ローン審査では勤続年数以外の要件も重要であることを頭に入れて、マイホームの購入を検討しましょう。
また、住宅ローンや家づくりで不安なことがあるときは、建築会社に相談するのもおすすめです。
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