コラム
住宅ローンが払えない時の対処法は?滞納後の流れや注意点も解説
住宅ローンは返済する前提で借入しますが、中には何らかの事情で支払いができなくなるケースもあります。
昨今では新型コロナウイルスの影響もあり、金融庁からは新型コロナウイルスによる住宅ローン返済の救済策が公開される事態になっています。
また、それ以外の要因でも返済困難となるケースが多々あるため、万が一に備えて対処方法や滞納後の流れ、注意点などを把握しましょう。
※参考:金融庁「新型コロナウイルス感染症の影響で、個人や個人事業主の方で住宅ローンや事業性ローンなどの返済にお困りではありませんか?」
住宅ローンが払えなくなる原因
住宅ローンが払えなくなる原因はさまざまですが、主なケースとして次の5つがあります。
・収入の減少
・出費・支出の増加
・返済が難しい住宅ローンを組んでいた
・定年退職後も住宅ローンの支払いが続いている
・市況の影響
収入の減少
新型コロナウイルスに対する救済措置のほとんどは、収入の減少補填です。
また、それ以外の原因であっても、ほとんどのケースに収入の減少が挙げられます。
収入の減少は一時的な場合であればさまざまな対処方法があり、リストラなどの理由で失職した場合は早急な対応が必要となるため方法は限定されます。
このように、収入の減少が原因で住宅ローンが支払えなくなるケースは、非常に多いといえるでしょう。
出費・支出の増加
収入の減少がなくとも、ライフスタイルが変化することで出費や支出が増加し、家計を圧迫することもあります。
具体的には、子どもの出産や親の同居、親族への資金援助などです。
家を建てる際には将来にわたって資金計画を立案し、ある程度予測できる範疇で進めていきますが、それでも不確定なトラブルは起きます。
ほとんどのケースでは家計のやりくりで対応できるため、住宅ローンが支払えないほど支出が増加した際には、プロのアドバイスを受けましょう。
返済が難しい住宅ローンを組んでいた
そもそも、成立していない住宅ローンの返済計画だったというケースもあります。
多くの人は、ファイナンシャルプランナーに将来発生する費用と年収のバランスを見える化してもらい、家づくりを進めることがほとんどです。
しかし、一部では銀行の借入額だけで判断する人もいるので、その場合はハイリスクな資金計画となってしまうでしょう。
このような資金計画を組んでいた場合、それに基づく住宅ローンの返済計画もまたハイリスクです。
したがって、「数十年後にローン返済できない」ということにもなりかねないため、資金計画の内容には注意しましょう。
定年退職後も住宅ローンの支払いが続いている
住宅ローンの返済は、基本的に毎月の支払いとボーナス支払いを継続することで完済できる仕組みとなっています。
そのため、住宅ローンの返済さえ安定していれば問題はありませんが、定年退職後の再雇用は一般的に年収が大きく減少します。その場合に、退職金の使い道が住宅ローン以外にあった場合、返済計画の見直しが必要となるでしょう。
そのため、住宅ローンを組む際には「何年で返済するのか」「退職金の使い道をどうするのか」を必ず押さえておきましょう。
市況の影響
冒頭に挙げた新型コロナウイルス以外にも、円安や物価高といった市況の影響を受け、その結果収入の減少や支出の増加を誘発することがあります。
このようなケースは予測することが難しく、対応方法も限定的です。
したがって、住宅ローンは余裕を持った返済計画でスタートすることをおすすめします。
住宅ローンが払えない場合の対処方法
住宅ローンは、もちろん払えるような資金計画および対応が大事ですが、いざというときに備えて知識を蓄えることも重要です。
・保険や給付金を確認する
・銀行担当者に相談する
・住宅ローンの借り換えを相談する
・持ち家を売却する
・リバースモーゲージに借り換える
・新型コロナ関連の給付金・補助金を確認する
ここでは、住宅ローンが払えない場合の代表的な対処方法を6つ解説します。
保険や給付金を確認する
失業保険や政府からの給付金は、積極的に利用しましょう。
これらの救済措置は、住宅ローンの支払いができなくなると自動的に受けられるものではなく、原則自ら申請しなければなりません。
したがって、どのような救済措置があるのかを事前に金融庁や市役所のHPで調べましょう。
銀行担当者に相談する
住宅ローンは銀行から借入しているため、返済が困難だと感じた場合は、まず銀行担当者に相談しましょう。
銀行としても任意売却や競売による元本回収は避けたいという思いがあり、その点は債務者と一致しています。
そのため、親身になって話を聞いてくれることもあるでしょう。
住宅ローンの借り換えを相談する
金利や、返済条件を変えることで住宅ローン返済を継続できる場合は、他の銀行に相談し借り換えを相談してみましょう。
返済期間を伸ばしたり条件を追加したりすることで、返済額を減らす方法もあります。一般の人には分からない対応方法を教えてくれるケースもあるので、金融のプロへ相談することはおすすめの対処方法です。
持ち家を売却する
持ち家を売却し、住宅ローン残債の返済に充てる方法は最も一般的な対処方法といえるでしょう。
持ち家であれば、不動産を売却した際に発生する譲渡所得税も大きく減税でき、エリアによっては残債額よりも遥かに高い価格で売却できる可能性があります。
このように、住宅ローンの支払いが困難だと感じた場合にはまず不動産売却を検討し、不動産会社に相談することをおすすめします。
リバースモーゲージに借り換える
リバースモーゲージとは、金融機関に住んでいる不動産を買い取ってもらい賃貸借契約に切り替える仕組みです。
住宅ローンが全て完済となり、固定資産税の支払いもなくなります。
また、引越しする必要もないため非常に効果的な対処方法だといえます。
しかし、住宅ローンがなくなる代わりに賃料が発生するため、住宅ローンとどのくらい差額があるかを把握しなければなりません。
さらには、住宅ローンの残債額以上の買取り金額が絶対条件のため、金額が合わないケースもあります。
リバースモーゲージは優秀な仕組みである一方、使い方を間違えると大きな損失に繋がる可能性があるため注意しましょう。
新型コロナ関連の給付金・補助金を確認する
新型コロナに関する給付金や補助金は、受けられる条件設定が多い上に細かく変動します。
そのため、「前回の給付金は受けられなかったけれど今回は該当する」といったケースもあります。
先述のとおり、給付金や補助金制度は申請しなければ受け取れないため、細かくチェックしましょう。
住宅ローンの滞納後の流れ
万が一、住宅ローンを滞納してしまった場合は次のような流れになります。
・督促状が届く
・期限の利益の喪失
・任意売却の推薦を受ける
・競売開始決定
・競売入札開始の通知
・任意売却終了
・立ち退き
上記のように、どのようなステップがあり最終的にはどのような流れで進めていくのかを把握しましょう。
また、住宅ローンを支払う義務がある人を「債務者」、銀行などの金融機関は「債権者」と呼び、滞納した場合は原則債権者からさまざまな通知が届きます。
債務者は最初の通知を受けた時点から、ある一定期間を経過すると次のステップに進んでしまうため注意が必要です。
督促状が届く
督促状は2ヶ月連続で住宅ローンの支払いが滞った場合に発送されることが多く、基本的にこの時点で支払いをすれば問題になることはありません。
ただし、何度も滞納を繰り返すと他のローン借入に影響が出る可能性もあります。
期限の利益の喪失
「期限の利益の喪失」とは、住宅ローンの支払いを分割払いにしていた権利を喪失するという意味です。
住宅ローンを滞納した場合、この「期限の利益の喪失」という状態になります。
したがって、住宅ローン残債の一括返済を強制される状態になりますが、分割支払いができない状態で一括返済を求められても対応できないケースがほとんどです。
任意売却の推薦を受ける
銀行担当者と相談し住宅ローンの返済が困難だと判断された場合、任意売却を薦められます。
任意売却とは通常の不動産売却と違い、価格決定権は売主にありません。
銀行は、任意売却の時点で債権を債権回収会社に売却し、債権回収会社が価格を設定します。
競売開始決定
任意売却の期間は、一般的に約1年半です。
その間に売却できない場合、入札によって買い手を決める競売に移行します。
競売入札開始の通知
競売入札開始の通知が債務者に届いた時点で、売却の期限が決まります。
なぜなら、任意売却は競売開始の翌日までとなるからです。
任意売却終了と競売開始
任意売却が終了し、競売が開始されると債務者の意志に関わらず価格が決定されるでしょう。
非常に安い価格で売却されることが多く、さらには差し引きして残った住宅ローン残債の支払い義務は残ります。
したがって、競売にならないようにすることが住宅ローンの支払いにおいて非常に重要なポイントです。
立ち退き
退去命令日には、破産管財人と有資格者が競売落札した不動産に来訪し、荷物を運び出します。
この時点で、立ち退きをする必要があります。
住宅ローンが払えない場合の注意点
住宅ローンが払えなくなった場合、最終的には強制立ち退きとなりローン支払い義務だけが残ってしまいます。
・金融機関に相談する
・住宅ローン返済のための借入をしない
・督促状は無視しない
ここからは、住宅ローンが払えない場合の注意点を解説します。
金融機関に相談する
住宅ローンを支払っている銀行や他の金融機関、無料の資産運用相談所など住宅ローンの相談窓口は多くあります。
多くの債務者が利用しているため、現状受けられるサービスや対処方法を教えてくれることもあります。
したがって、まずは誰かに相談しましょう。
住宅ローン返済のための借入をしない
住宅ローンを返済するために、他のローンを借りることはおすすめしません。
なぜなら、数あるローンの中でも住宅ローンが最も安いからです。
例えば、地方銀行の一般的金利では変動金利で0.5%前後です。
しかし、フリーローンだと3%前後になるケースもあります。
このように、目先のローンを返すために総支払額を増やすことにもなりかねないため、他のローンを借りて住宅ローンに充当することは避けましょう。
督促状は無視しない
催促状が届いた場合、必ず送り主に内容を確認しましょう。仮に無視した場合、債権者へのイメージが悪くなり、競売へ移行するタイミングが早まるケースもあります。
住宅ローンが払えない際のよくある質問
住宅ローンが払えない際のよくある質問としては、次の内容があります。
・住宅ローンが払えないと連帯保証人はどうなる?
・自己破産した場合の持ち家や住宅ローンはどうなる?
・住宅ローンを滞納するとブラックリストに名前が載る?
順番に見ていきましょう。
住宅ローンが払えないと連帯保証人はどうなる?
連帯保証人は債務を連帯しているため、主たる債務者が住宅ローンの支払いができなくなった場合、連帯保証人が住宅ローンを支払う義務があります。
自己破産した場合の持ち家や住宅ローンはどうなる?
自己破産すると、持ち家やその他生活に必要な物以外は全て没収され、債務返済に充てられます。ただし、それでも残ってしまった残債の支払い義務は消滅しません。
自己破産は、全ての借金を無くせるわけではないので注意が必要です。
住宅ローンを滞納するとブラックリストに名前が載る?
ブラックリストとは、個人情報に何らかのトラブルがあった人の総称で、実際にリストはありません。
住宅ローンを滞納すると金融機関のデータベースで情報共有され、ローン関連の審査ではどの機関でもトラブル内容をチェックされる仕組みです。
住宅ローンを滞納すると、このデータベースに情報が載ってしまいます。
これが、いわゆる「ブラックリストに載る」という表現に該当します。
住宅ローンが払えない場合は早めに手を打つ
本記事で紹介したように、住宅ローンは支払えなくなってから手立てを考えるのでは遅いといえるでしょう。
したがって、なるべく苦しいと感じた時点で銀行などに相談して早急に対策しましょう。
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