コラム
持ち家と賃貸はどちらを選ぶべき?持ち家と賃貸をメリット・デメリットや購入する年代ごとで比較!
毎月家賃を払い続けながら賃貸住宅で暮らすか、それとも住宅ローンを利用して持ち家を購入するか…と、迷われている方も少なくないでしょう。
「住宅ローンを払うくらいなら、このまま賃貸住宅に住み続けても同じでは?」と考えている方も、いらっしゃるかもしれません。
賃貸住宅と持ち家に対する考え方は、年代によっても異なります。実際のところ、どちらに住み続ける方がメリットは大きいのか、また年代ごとの考え方についても紹介します。
賃貸のメリット
住まいや場所を選びやすい
賃貸住宅の一番の特徴は、家族構成やライフスタイルなどの変化に合わせて移り住めることが挙げられます。子どもが生まれたら少し広い物件に、成長したら子ども部屋が作れる物件に、そして独立したらコンパクトな物件にと、家族構成の変化にあわせて必要な広さや間取りの家へ容易に引っ越せます。
また、家から離れた場所に異動や転職をしたり、収入が減って家賃負担が重くなったりしても、適した場所に引越すことで問題は解決します。
家賃以外の維持費を抑えられる
賃貸物件でエアコンや給湯器など備え付けの機器が故障した場合、その修理代は原則としてオーナー(大家)が負担します。また、持ち家だと必ずかかる固定資産税や、建物にかけられる火災保険などもオーナー負担のため、居住者が住まいの維持費を支払うことはほとんどありません。
家賃の支払いはあるものの、住宅ローンという重荷を背負わなくて良い点も魅力です。
常に新しい物件に住み続けることも可能
持ち家だと、新築の家でも10年20年と経過すれば古くなってしまいます。しかし、賃貸物件なら新築物件ばかりを選んで移り住めば、新築や築浅の住まいで快適に暮らし続けることも可能です。
ただし、新築物件の家賃は市場の賃貸価格より高いので、ある程度の住居費が必要になります。
賃貸のデメリット
家賃を払い続けても自分の家にならない
持ち家の場合、住宅ローンを完済すれば支払いはなくなりますが、賃貸住宅の家賃はそこに住み続ける限り支払いが続きます。
賃貸住宅の持ち主は、あくまでもオーナーですから、どれだけ家賃を払い続けても自分の資産にはなりません。持ち家なら住まいに抵当権を設定して金融機関から融資を受けることも可能ですが、賃貸住宅の場合、居住者が抵当権を設定することすらできないのです。
リフォームなどの改築はできない
賃貸物件では、照明やエアコンなどの設備を新しいものに交換したり、壁紙を張り替えたりといった変更は原則できません。それどころか、オーナーに無断で勝手に変更すると、退去時に原状回復費を請求されます。
高齢になると住む物件が限られる
住宅ローンを利用する際には、融資を受ける金融機関の審査に通る必要があります。賃貸物件でも同じく、物件のオーナーや管理会社による審査があり、それに通らなければ住むことができません。
特に、年金以外の収入がない高齢者の場合、借りられる物件が限られてきます。たとえ資産が多くても、収入がない人には借さないケースもありますので注意が必要です。
持ち家のメリット
ステータス(社会的信頼)がある
自分の家を建て、完成して住み始めたときの満足感は、賃貸住宅では味わえないものです。家を持っているというだけで知人に自慢できるだけでなく、社会的な信用を得ることにもつながります。
キャッシュで購入したり、住宅ローンが完済したりした家は、完全に自分のものですから、抵当権を設定して金融機関から多額の融資を受けることも可能でしょう。
自由に改築できる
設備の交換も、間取りやデザインの変更も、フルリフォーム(リノベーション)も、誰の許可を得ることなく自由にできるのも持ち家の魅力です。
建ぺい率や容積率などの制約はありますが、基本的には持ち主の意向に合わせて自由に増改築できます。
老後が安心
住宅ローンは、定年までに完済するよう計画するのが一般的です。若いときに持ち家を購入し、早いうちにローンを完済すれば、毎月の支払い分を老後の蓄えに回すことも可能でしょう。
何年住み続けても家賃の支払いがなくならない賃貸住宅と比べると、持ち家の方が老後は安泰です。
持ち家のデメリット
初期投資額が高い
賃貸住宅を借りるときに必要な初期費用は、敷金や礼金、不動産会社への手数料など、数十万円程度です。これに対して、持ち家の場合は数千万円の資金が必要になります。
住宅ローンを利用する場合でも、頭金として数百万円は必要ですし、全額を借りられるフルローンを使ったとしても、諸費用まで借り入れできる商品は少なく、最低でも100万円近くの資金が必要です。
維持費も全額自己負担
設備の交換からリフォームまで自由にできるのが、持ち家のメリット。ただし、オーナーは自分ですから、それらにかかる費用は全額自己負担です。
固定資産税や火災保険の支払いなどもありますから、事前に資金計画をしっかり立て支払いが滞らないようにしましょう。
簡単に引っ越せない
勤務先の異動や転職などで引っ越しが必要になった場合、簡単に移り住めないことも持ち家のデメリットといえます。
もちろん売却して移り住むことも可能ですが、すぐに売れるとは限りません。住宅ローンを利用している方の場合、その残債より売却額が少ないと手放せないこともあります。
一生賃貸に住む場合かかる金額
賃貸住宅で一生を過ごす場合、住居費はどれくらいかかるのでしょうか。ここで、30歳の方が80歳になるまでの50年間、賃貸住宅に住み続けた住居費を以下の条件でシミュレーションしました。
条件1:引越し回数
賃貸住宅に住み続けるといっても、家族構成の変化や物件の老朽化による退去などのタイミングで何度か引っ越すのが一般的です。
ここでは、「最初の引越し(30歳)」「2回目の引越し(40歳)」「最後の引越し(55歳)」の3回で検討します。2回目の引越しは子どもが中学校に入学するタイミング、最後の引越しは子どもが結婚して独立するタイミングを想定しました。
条件2:間取りと家賃
賃貸物件の間取りは、最初と最後(合計35年間)は2LDK、2回目の引越し(15年間)は子どもが大きくなったので3LDKタイプとします。
大手不動産ポータルサイト「ホームメイト」によると、郡山市の賃貸物件の相場は2LDKが約6万5,000円、3LDKが約8万4,000円です。これが50年変わらないものとします。また、管理費はすべて月額3,000円と仮定しました。
このほか、入居時には敷金・礼金・仲介手数料として家賃3ヵ月分、更新料が2年に1度で家賃1ヵ月分とします。
賃貸で50年間にかかる住居費は?
上記2つの条件で、50年間賃貸住宅に住み続けた住居費は、以下の通りです。
家賃 | 4,242万円 |
管理費 | 180万円 |
敷金・礼金 | 64.2万円 |
更新料 | 162.8万円 |
合計 | 4,649万円 |
※このほか、引越し代や家財の火災保険料が別途かかります。また、物件によっては駐車場代も必要です。
参考:ホームメイト
持ち家購入で一生にかかる金額
続いて、持ち家に50年間住み続けた住居費をシミュレーションしましょう。
条件1:家を建てる費用(住宅ローン利用)
大手不動産ポータルサイト「アットホーム」によると、郡山市の新築一戸建ての相場は、土地を含めて約2,500万円です。
このうち頭金を500万円用意し、2,000万円は35年固定金利の住宅ローンを利用すると仮定します。住宅ローンはフラット35を利用。金利は2021年4月現在の1.37%を適用します。
このほか、住宅ローン手数料や登記費用などの諸費用として物件価格の5%、入居した初年度にかかる不動産取得税も踏まえます。
条件2:維持費
住み始めてからかかる費用として、固定資産税、火災保険料、修繕費(リフォーム費)があります。
このうち、リフォーム費用は外壁塗装、設備交換のコストとしてトータル200万円、さらに入居して30年目に500万円の大規模リフォームを行うとします。
持ち家で50年間にかかる住居費は?
上記2つの条件で、50年間持ち家に住み続けた住居費は、以下の通りです。
頭金 | 500万円 |
住宅ローン返済額 | 2,519万円(毎月6万円) |
諸費用 | 125万円 |
不動産所得税 | 30万円 |
固定資産税 | 400万円(年8万円) |
火災保険 | 50万円(10年で10万円) |
修繕・リフォーム | 700万円 |
合計 | 4,324万円 |
こうしてみると、持ち家の方が約300万円安くなります。
わずか300万円くらいなら、と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、重要なのは住宅ローンの月々返済額。賃貸物件の家賃は、子どもの教育費などがかかる時期に毎月約8万4,000円支払うのに対し、住宅ローンの返済額は約6万円で変わりません。
基本的に家賃にはオーナーの利益を含めて決定されるため、住宅ローンよりも高くなるのが通例です。
参考:アットホーム
年代別に見る賃貸と持ち家のおすすめ度
賃貸で暮らすか、持ち家を購入するかは、年代によってもメリット・デメリットが異なります。
20代の場合
20代は持ち家の購入を検討しはじめる最初のタイミングです。
住宅ローンを利用して持ち家を購入する大きなメリットに、家賃の支払いがなくなることが挙げられます。
賃貸に住む期間が短くなりますので、家賃負担が少なくなるということや、無理のない返済期間での住宅ローンを組むことができますので、毎月の支払いも抑えやすくなります。
ただし、転勤や転職などの生活環境や、結婚・出産といった家族構成も変わりやすいため、落ち着くまでは賃貸の方が良い場合があるでしょう。
30代になって、子どもが生まれたり小学校に入学したりするタイミングで、持ち家を購入される方も多いです。小学校や中学校の近くなど、子どもの通学や親の通勤に適した立地で、住まいを探している方もいらっしゃいます。それ以外にも実家の近くに帰って来られる方もいらっしゃいます。
子どもが中学・高校と進学するにつれ、教育費も増える40代。
持ち家の方は住宅ローンが、賃貸の方は家賃支払いが負担にならないよう、余裕をもって資金計画を立てることが大切です。
子どもが大学を出て社会人となり、結婚して独立すると、住まいに求めることは夫婦だけのライフプランです。50代を過ぎると、借入できる住宅ローンが限られます。頭金を多く用意したり、退職金を使ってキャッシュで購入したりといった工夫が必要です。
定年後、年金以外の収入がなくなると借りられる賃貸物件が限られてきます。セカンドライフを楽しむ住まいは、できるだけ定年前に決めておきましょう。
まとめ
賃貸住宅と持ち家、どちらを選ぶとメリットが大きくなるかは、人それぞれです。それよりもライフスタイルや将来のプランなどにあわせて選ぶことが、賢く住まうポイントといえるでしょう。
持ち家を購入するタイミングも人それぞれ。「今が持ち家を購入するチャンス」という好機が訪れたら、一生安心して暮らせる住まいを見つけてくださいね。