コラム
変形地の活用方法とは?-メリットや活かした間取りも解説
注文住宅を購入するためには、家を建てる場所である土地が必要です。
ですが土地といっても形は様々で、一般的な四角い土地とは別に変則的な形をした『変形地』と呼ばれる土地も存在します。
今回は、変形地の活用方法やメリットなどを詳しく解説していきます。
変形地とは?
そもそも変形地とは、言葉の通り変則的な形をした土地のことです。
一般的には長方形の土地に家を建てることが多いのですが、三角形や五角形など周辺状況によって生じた長方形と呼べない変わった形をした土地が存在しています。
変形地が存在している場所は平面だけではなく、斜面や段差があるなどの条件を持った土地も例外ではありません。後ほど詳しく紹介していきますが、変形地の一種に旗竿地という土地もあります。
一見敬遠されがちな変形地ですが、さまざまなメリットがある魅力的な土地です。
変形地の種類
先ほども触れた通り、変形地には様々な種類が存在しています。
変形地は「長方形ではないから変形地」という認識で問題ありませんが、マイホームを建てるという前提条件があるのでしっかりとそれぞれの特徴を知っておきましょう。
場合によっては建設しにくいとされる土地もあるので、知識がない状態で土地を決めてしまっては後々後悔するケースもあります。
・三角形や五角形
・うなぎの寝床
・傾斜地
・段差がある土地
・旗竿地
ここでは上記5つの変形地について紹介していきます。
三角形や五角形
三角形や五角形の変形地は、その名の通りの形をした変形地です。
かなり変則的な形をしているものの、角地であれば日当たりが良好な上に特徴的な外観に仕上げることができます。敷地面積によっては、ペットのためにプライベートガーデンを設けることも可能です。
一般的な長方形の土地に比べて、三角形や五角形の特徴的な形を活かすことで近隣住民や通行人からの視線を感じにくくなります。
アイデア次第で様々な表情を見せてくれる代表的な形とも言えます。
うなぎの寝床
うなぎの寝床と呼ばれる変形地は、道路に面している間口が狭く、それでいて奥行きのある長い土地が特徴です。
間口が狭い分奥に進むと広々とした空間が広がっているので、空間全体がよく見えるというメリットがあります。マイホームを持ちたいと考えている多くの人の憧れでもある吹き抜けや中庭に、採光を贅沢に取り入れることも可能です。
プライベート空間が広がっているので、独特な雰囲気が好みという人にはうってつけの土地だといえます。
傾斜地
傾斜地もその名の通り、他と比べて土地が傾いているのが大きな特徴です。
もちろん、傾斜地の中には法面が自然にできている土地も存在しており、切土や盛土といった造成工事で造られた土地もあります。
傾斜地は他の変形地に比べて擁壁などを造って法面崩壊を起こさないようにする必要があるため、道路面よりも高く位置しているのが大きな特徴です。
そのため、人の目が自然に遮られる形となり、プライバシーが守られるというメリットが存在しています。
傾斜地は浸水などによる被害を受けにくく、採光を多く取り入れた間取りが造れます。
高低差を利用したスキップフロアなども設計可能であり、メリットが多いことから傾斜地を選択する人は少なくありません。
段差がある土地
段差がある土地は、特徴として傾斜地と似た部分が挙げられますが、中でも立地が良い場所に存在していることが多い傾向にあります。
高低差はあるものの、平坦な土地にはない見晴らしの良さが人気です。見晴らしが良い場所に家を建てると、眺めが良いだけでなく、プライバシーが守られるというメリットが挙げられます。
天井を高くすることでおしゃれな空間が作りやすくなり、場合によっては2階に玄関を設置して1階を地下のような空間にすることも可能です。
人によってはリビングの上にガレージを設けているという人もいるため、高低差を活かしたおしゃれで個性的なマイホームにしたいという人におすすめです。
旗竿地
旗竿地は簡単にいうとL字型になった土地のことです。
公道に面していない土地から通路を引いて、旗竿のような形になっているのが大きな特徴です。公道と土地を繋げる通路部分は建築基準法によって必ず2m以上接していなければならないので、長くすればするほどプライベートな空間になりやすいといえます。
価格も他の変形地と比べて安く、安全面が高いので事故に遭いにくいというメリットが挙げられます。
変形地のメリットはなにより低価格であること
変形地は一般的な長方形の土地に比べて、低価格で購入できるという点が非常に魅力的です。
整形地では実現が難しいような、個性的な物件が低価格で実現できることを考えると、1つの選択肢としては十分だといえます。
土地面積が広ければ、長方形にできる部分にマイホームを建てて余った面積を庭にするなど工夫もできます。低価格で庭付きのマイホームが持てるのは、非常に夢があります。
さらに土地代が安いので、資産価値が低いことから固定資産税も安く済みます。
変形地を活かした間取り
変形地には、整形地に出せない味があり間取りに活かすことができます。
1.雁行技法を取り入れた間取り
2.生活空間を分けた二世帯向けの間取り
3.デッドスペースを有効活用した間取り
ここでは、実例をもとに変形地を活かした間取りを上記3つ紹介していきます。
雁行技法を取り入れた間取り
変形地を活かした間取りの例として、雁行技法を取り入れた間取りがあります。
方向が大きくふれた変形地の場合、季節によって日照時間が長くなったり短くなったりなどの欠点が出る場合があります。
この場合、窓の位置がとても重要になりますが、玄関の位置がどうしても動かせない場合雁行(がんこう)という技法を取り入れた間取りにすることで、採光量を十分に確保できるようになります。
雁行という技法は集合住宅の住戸レイアウトパターンの1つとされており、住戸やいくつかの住戸ごとに斜めにずらして配置する形式のことです。
上から見た建物の形状は、雁という鳥が飛んでいく時の形によく似ています。
雁行型の建物は、採光性だけではなく通風性にも優れているのでどの部屋にいても過ごしやすいといえます。
生活空間を分けた二世帯向けの間取り
横長の土地の場合、生活空間を分けた二世帯同居向けの間取りも可能です。
四季工房では南北に奥行きがなく、東西に広がった敷地を活用した間取りを提案した実績があります。
すべての居室を南向きに配置したことによって、採光・通風共に常に良好な状態を実現しました。
玄関ホールを挟んで西側の平屋部分には親世帯の居室にし、東側はLDKと茶の間を完備した子世帯用に分けています。
そうすることで変形地でもゆとりある空間が生まれ、二世帯同居でも広々と暮らすことができます。
デッドスペースを有効活用した間取り
変形地は土地の形に問題が起こりやすいため、様々な方法で工夫することが重要です。
デッドスペースになりがちな傾斜部分や凹凸部分は、アイデア次第で他にはない個性的なプライベート空間へと変化させることができます。
建物以外の敷地を庭にしたり、スキップフロアを設けたりするだけでかなり有効活用できます。
変形地を住宅以外で活用する方法
土地の活用方法は建物を建設するだけでなく、借地として貸し出したりすることも可能です。
駐車場や資材置き場として貸し出したり、長期的に居住用として土地を貸し出したりなどの利用方法があります。駐車場や資材置き場として貸し出す場合、借主に権利が発生しないので土地代だけという少ない投資で気軽に運用が可能です。
定期借地として貸し出す場合は、貸し出してから50年後に更地にして返却してもらうという活用方法が挙げられます。
借入金が必要ないので、節税対策にもなります。
さらには譲渡所得税がかからず、まとまった保証金も入ることから、安定した地代収入が毎月入るため、投資として有効な活用方法です。
変形地はアイデア次第で魅力的な土地
建物はもちろん、敷地面積によってはさまざまなアイデア次第で魅力的な土地へと生まれ変わります。
特殊なスペースは工夫がとても重要で、変形地に建てた家はスペースの有効活用などをするのが前提です。
一般的な土地では実現できない個性的な利用方法が可能なので、工夫ができるということを楽しみましょう。
まとめ
変形地の活用方法やメリットなどを紹介してきました。
夢のマイホームを持つことは多くの人にとって憧れであり、長期に渡って住み続けることが前提なので、できれば妥協はしたくないものです。
建物だけでなく土地にもこだわりを追求することで、住み出してからの居心地の良さが長続きします。
整形な土地も良いですが、自分が求める快適な暮らしを実現するために変形地も1つの選択肢として検討してみましょう。
四季工房では、変形地を活かした家づくりを実現しています。どんなに些細な疑問にもお客様に寄り添って提案させていただきますので、ぜひご相談ください。