コラム
シックハウス症候群とは 現状と対策
シックハウス症候群とは
現代の高気密住宅は建材や家具、日用品から発生する化学物質など、室内の空気を汚染する物質が部屋にこもりやすく、生活する人の健康に影響を及ぼし様々な症状を起こすことがあります。
症状が多様で、症状発生の仕組みをはじめ、未解明な部分も多く様々な複合要因が考えられることからシックハウス症候群と呼ばれています。
シックハウス症候群は医学的に確立した単一の疾患ではなく、居住に由来する様々な健康障害の総称を意味する用語とされています。
※建材:住宅建築に使用される建築材料
シックハウス症候群のおもな症状
・目がちかちかする、涙がでる
・くしゃみ・鼻水、鼻がツーンとする
・のどの渇き・痛み、イガイガ、せき、たん
・頭痛・めまい
・疲労感・倦怠感
・気分が悪い・吐き気
これらの症状はシックハウスだという固有の症状がなく、個人差も大きく診断を難しくしています。
同じ部屋に居ても、まったく影響を受けない人もいれば敏感に反応してしまう人もいます。
現代の家の特徴について
伝統的な日本の家は木造で、柱や梁は天然の無垢の木、壁は漆喰などの自然素材で造られ、床には畳が敷いてあり、ふすまや障子で部屋を仕切っていました。こうした伝統的な住宅は、日本の高温多湿の気候にとても適していました。
床下や天井も通気のよい造りで自然に外の空気と入れ換わり室内の空気は良好な状態に保たれていることで、化学物質とは無縁であったと言えます。
これに対して現代の家は、人為的な快適性や省エネ性を求めた結果、気密や断熱性に優れた建物になりました。
また、工期の短縮や建築費を抑えるために、構造材は集成材、壁はボードや合板、床はフローリング、壁はビニールクロスなど化学物資を含んだ建材が使われています。
高気密の家は常に換気をしていないと、建材や日用品などから放出された化学物質が室内にこもりやすくなるという問題をかかえています。
指針値の物質の特性と室内濃度指針値について
シックハウス(室内空気汚染)問題に関して厚生労働省により13種の化学物資の室内濃度指針値が示されています。
指針値は現状において入手可能な科学的知見に基づき、人がその化学物質の示された濃度以下の曝露を一生涯受けたとしても、健康への有害な影響を受けないであろうとの判断により設定された値であるとあります。
また、リスク評価実施物質としてヒトへの影響が示されています。
化合物 | 室内濃度指針値 | 建築での使用例 | ヒトへの影響 |
ホルムアルデヒド | 100μg/㎥(0.08ppm) | 建築用接着剤、塗料、断熱材など幅広く使用される合成樹脂原料 | 眼、上気道への刺激、呼吸器系への影響。 発がん性あり。 |
アセトアルデヒド | 48μg/㎥(0.03ppm) | 合成樹脂、合成ゴムなどの原料 | 眼や粘膜への刺激、皮膚の紅潮。 発がん性の可能性あり。 |
トルエン | 260μg/㎥(0.07ppm) | 接着剤、塗料、インキ、ワックス、防水剤の溶剤 | 中枢神経系への影響。 疲労感、眠気、めまい、軽度の呼吸器系への刺激。 |
キシレン | 200μg/㎥(0.05ppm) | 接着剤、塗料、インキ、ワックス、防水剤の溶剤 | 呼吸器、肝臓、中枢神経、腎臓への影響。 |
エチルベンゼン | 3,800μg/㎥(0.88ppm) | 接着剤、塗料、インキ、ワックス、防水剤の溶剤 | 眼、鼻粘膜、呼吸器系への強い刺激性。 発がん性の可能性あり。 |
スチレン | 220μg/㎥(0.05ppm) | 塗料やワックスの溶剤、合成塗料の原料 | 眼、鼻に対する刺激性、中枢神経に対する影響。 発がん性の可能性あり。 |
パラジクロロベンゼン | 240μg/㎥(0.04ppm) | 衣類などの防虫剤、トイレの芳香剤 | 眼、皮膚および呼吸器系はの刺激。 発がん性の可能性あり。 |
テトラデカン | 330μg/㎥(0.04ppm) | 塗料、インキ、ワックスの溶剤 | 呼吸器刺激性、めまい、悪寒、頭痛など。 |
クロルピリホス | 1μg/㎥(0.07ppb) | シロアリ防除剤 ※住宅では使用禁止 | 眼刺激、神経系の障害。 |
フェノブカルブ | 33μg/㎥(3.8ppb) | シロアリ防除剤 | 神経系への障害、倦怠感、頭痛、めまい。 |
ダイアジノン | 0.29μg/㎥(0.02ppb) | シロアリ防除剤 | 神経系への障害、痙攣、吐き気、めまい。 |
フタル酸ジ-n-ブチル | 17μg/㎥(1.5ppb) | 壁紙、床材などに使用される軟質塩化ビニル樹脂系の可塑剤、接着剤・塗料の可塑剤 | 呼吸器系への刺激、眼への軽い刺激、流涙。 |
フタル酸ジ-2-エチルヘキシル | 100μg/㎥(6.3ppb) | 壁紙、床材などに使用される軟質塩化ビニル樹脂系の可塑剤、接着剤・塗料の可塑剤 | 眼への刺激、軽度の皮膚刺激。 発がんのおそれの疑い。 |
※参考1:室内空気中化学物質の室内濃度指針値について(◆平成31年01月17日薬生発第117001号)|厚生労働省
※参考2:職場のあんぜんサイト:化学物質:リスク評価実施物質|厚生労働省
化学物質はどうやって室内に放出されるのか
私たちはたくさんの化学物質に囲まれて暮らしています。室内には壁や床に使用されている建材や塗料、接着剤などに含まれている化学物質や有機溶剤があります。
食器棚やタンスなどの家具、カーペット、畳、カーテン、洗剤、化粧品、洋服などにも含まれています。これらの化学物質が以下のように揮発、放出します。
・壁や天井、床下に使われている合板の接着剤から揮発する。
・木材に使われている防カビ・防虫剤が揮発したり、こすりあわされたりして微粒子が放出する。
・壁用のビニールクロスや壁紙を貼るときに使われた接着剤から揮発する。
・床暖房で合板のフローリングが暖められてホルムアルデヒドなどが揮発する。
・クッションフロアに使われている可塑剤が微粒子になって放出される。
・床下や畳に使われた防虫・殺虫剤が揮発する。
・家具に塗られたペンキやラッカー、コーティングされた表面処理剤などから揮発する。
・カーテンに含まれる可塑剤が微粒子になって放出される。
・押入・クローゼットに置いた防虫剤から揮発する。
シックハウス対策の現状
私たちの身の回りには50,000種類を超える化学物質が製品や食品などに含まれて流通しているといわれます。
室内空気中には様々な化学物質が存在し、採取・分析を行うと一般的に数10種類、ときには100種類を超える物質が検出されるといわれます。
しかし、厚生労働省により室内濃度指針値が示されているのは13物質に過ぎません。しかも、そのうち国土交通省によるシックハウス対策として規制対象になっているのはクロルピリホスとホルムアルデヒドの2物質のみです。
※クロルピリホスは使用禁止、ホルムアルデヒドは内装仕上げ、天井裏の使用制限に加え、換気設備の義務付けがされている
しかも、最近は規制化学物質の代替となる安全性が未確認のものが建材等に使用され、それが原因と推定されるシックハウス症候群の発生事例が報告されています。
今後新たに危険な化学物質が生まれてくる可能性もあります。
化学物質の種類が膨大になり、新たな指針値の策定が追いつかず、また現代の住宅建築で既にスタンダードとなってしまった化学物質を揮発する恐れのある建材そのものを規制することもできないため、換気設備の義務づけを行っているというのが実態なのではないでしょうか。
ちなみに、指針が示された物質の種類(13物質)は2002年から全く増えていません。
シックハウス症候群を防ぐために
揮発して、室内空気に含まれる化学物質はごく微量のためにその存在に気が付かずに生活することになります。
それぞれの物質の人体への影響についてもよくわかっておらず、発がん性についても未知です。
また、化学物質が人に与える影響は、成長期の子供のほうが大人よりも大きいと考えられています。
家を新築するとなると知らないうちに古い家の何倍もの化学物質の中で暮らすことになってしまいます。
家族が幸せになるために何千万もする家を建てたのに病気になってしまっては元も子もありません。
家を建てる際は専門家と相談して少しでも安心できる素材を選ぶべきです。
四季工房が実現する自然素材の家
四季工房では住む人の住み心地と安全性、環境に配慮した家づくりを行っています。
室内空気の汚染が原因で起こるシックハウス症候群。その主な原因はホルムアルデヒドという化学物質であることが分かっています。
四季工房は新建材に頼らず自然素材を使った家づくりをし、ホルムアルデヒドのみならず人工由来の有害化学物質を削減する取り組みを続けてきました。
化学物質を低減した自然素材の家づくりを実現しよう
四季工房ではせっかく建てた家が、大切な家族の健康を害することがあってはならないという考えのもと、お客様に寄り添いながらご相談を承ります。
自然素材の家に興味がある方は、ぜひ一度四季工房にお問合せください。