コラム
住宅ローンの借り換えタイミングはいつがいい?メリットや注意点も紹介
住宅ローンを組んでいる方にとって、金利や返済額および返済期間などの条件は非常に重要です。
組んだ当時の金利より市場金利が低くなっている場合、借り換えを考える方も多いでしょう。
本記事では住宅ローンの借り換えタイミングについて解説するとともに、そのメリットや注意点についても紹介していきます。ぜひ最後までご覧ください。
そもそも住宅ローンの借り換えを行う理由とは
冒頭にも少し述べましたが、住宅ローンの借り換えを行う理由は主に以下の3点が挙げられます。
・安い金利で借り換えたい
・保障内容を見直したい
・変動金利から固定金利に借り換えたい
上記3点の中でも借り換えの理由で圧倒的に多いのは、やはり金利の見直しでしょう。
金利の見直しによるメリットについては後述にて紹介していきます。
住宅ローンの借り換えタイミング7選
次は住宅ローンの借り換えタイミングについて解説していきます。
借り換えタイミングはさまざまですが、主に挙げられるのは以下の7点です。
- ・固定金利選択型ローンの固定金利期間終了時
- ・変動金利の返済額の見直しタイミング
- ・月々の返済負担が大きいと感じた時
- ・金利タイプを変更したい時
- ・別のローンを組む予定ができた時
- ・職場環境が変わる前
- ・今よりも良い条件の金融機関を見つけた時
借り換えをご検討の方で上記のタイミングにある場合は、ぜひ参考にしてください。
固定金利選択型ローンの固定金利期間終了時
固定金利選択型ローンの固定期間が終了した時は、借り換えを検討するタイミングの一つです。
固定期間が終了すると、多くの場合は変動金利か再度固定金利を選択することになりますが、固定金利を再度選ぶ場合は、始めの固定金利よりも条件が悪くなる場合がほとんどです。
その場合には変動金利に切り替えざるを得なくなりますが、固定金利を選択した方にとっては、変動金利に対して不安を感じる方も多いといえるでしょう。
したがって、このタイミングで固定金利の条件が良い金融機関に借り換えを検討することも選択肢の一つとなります。
変動金利の返済額の見直しタイミング
変動金利における返済額見直しの時期も、一つの借り換えタイミングです。
変動金利は5年ごとに返済額の見直しがありますが、見直し時点での店頭金利が上がっている場合、それに伴って返済額が上がる場合もあります。
現在の住宅ローンの金利優遇よりも、借り換え先の金利優遇のほうが大きい場合、借り換えには絶好のタイミングといえるでしょう。
月々の返済負担が大きいと感じた時
月々の返済負担が大きい場合も、借り換えを検討すべきです。
返済負担が大きいまま無理な返済を続けている場合、取り返しのつかない事態に陥る前に早めに検討し、手を打っておくことをおすすめします。
それまでの返済期間が長いほど元金も減っているため、借り換え先の返済期間を長く取ることで月々の返済額を軽減できるでしょう。
逆に借り換え前の返済期間が短い場合は、借り換えによる返済額の軽減効果は低い場合もあるため、タイミングの見極めは必要です。
金利タイプを変更したい時
金利タイプを変更したい時に、借り換えが適している場合もあります。
・現在の住宅ローンの固定金利への切り替えの条件があまり良くない
・融資手数料型の住宅ローンに切り替えることでさらに金利が安くなる
・超長期固定金利で条件が良い金融機関があった場合
上記のような理由で、金利タイプの変更ができ、かつ条件が良くなる場合には借り換えのタイミングとしてはおすすめといえるでしょう。
別のローンを組む予定ができた時
別のローンを組むことになった際にも、借り換えが有効な場合があります。
・二軒目の家を購入することになった
・車のローンを組むことになった
・リフォームローンを組むことになった
上記のようなローンを組む前に、借り換えを行って返済額などの見直しを先に行っておくとよいでしょう。
逆に、別のローンを組んでしまったあとでは、借り換えの審査に通らないこともあるため、将来的な負担増に対応できなくなる場合もあるため注意が必要です。
また、ケースによっては二軒目の家を購入する際に利用する金融機関で、現在の住宅ローンも借り換えしたほうが、条件が良くなる場合もあります。
新たに別のローンを組む予定ができた際には、現在の住宅ローンの借り換えについても検討してみましょう。
職場環境が変わる前
職場環境が変わる前も借り換えのタイミングといえます。職場環境が変わる、つまり転職や関連別会社への異動などが挙げられます。
特に転職の場合は勤続年数がリセットされることから、借り換えの審査におけるハードルが高くなるため、職場環境が変わる前に計画的に借り換えを検討しましょう。
今よりも良い条件の金融機関を見つけた時
前述しましたが、今よりも良い条件の金融機関を見つけた時は、積極的に借り換えを検討しましょう。特に、金利が大幅に低くなる可能性がある場合は絶好のタイミングといえます。
また、現在の変動金利と借り換え先の固定金利の金利差があまりない場合でも、将来の金利上昇リスクに備えた対策としてはおすすめのタイミングです。
住宅ローンはほとんどの金融機関が主力として提供している商品のため、お得な条件のものがないかを常にチェックしておきましょう。
住宅ローンを借り換えるメリット3選
ここまで、借り換えをするタイミングをメインに紹介してきましたが、次は住宅ローンを借り換えるメリットについて解説していきます。
- ・住宅ローンの総返済額が減る
- ・住宅ローンの毎月の返済額が減る
- ・住宅ローンの返済期間を短縮できる
借り換えをするメリットは主に上記の3点が挙げられます。
住宅ローンの総返済額が減る
借り換えによって住宅ローンの総返済額を減らせます。
一般的に借り換えをする人の多くは、総返済額を減らす目的による借り換えが最大の動機であるといえるでしょう。
金利が0.1%でも変われば総返済額は数十万円単位と変わります。
ただし借り換えには諸費用がかかるため、それらを含めた検討が必要です。
住宅ローンの毎月の返済額が減る
借り換えは、住宅ローンの毎月返済額が減ることも大きなメリットの一つです。
それまでのローンを長く組んでいるほど元金が減っているため、借り換えの返済期間を長くとることで、更に借り換えの恩恵を受けられるでしょう。
ただし、借り換え先の返済期間にも完済時年齢制限があるため、場合によっては長い返済期間が取れないこともある点には注意です。
住宅ローンの返済期間を短縮できる
借り換えによって住宅ローンの返済期間を短縮できます。
もちろん、現在利用中の住宅ローンでも返済期間の短縮は可能ですが、同じ金利で返済期間を短縮すれば、当然ながら月々の返済額は大きく増すでしょう。
低金利の住宅ローンに借り換えをすることで、返済期間の短縮とともに、大幅な月々返済額の負担増の対策にもなります。
とはいえ返済期間を短縮する場合には、借り換え後の月々返済額を確認し、本当に負担がない返済額がどうかをよく考えることが重要です。
住宅ローンを借り換えるデメリット3選
次は住宅ローンを借り換えるデメリットについてご紹介します。
- ・再度住宅ローンの審査を行う必要がある
- ・借り換えるための費用がかかる
- ・住宅ローン控除額が減る可能性がある
借り換えは何度もできることではないため、上記のデメリットをご参考いただき失敗のないよう進めましょう。
再度住宅ローンの審査を行う必要がある
借り換えには審査があり、金利の安い金融機関があっても、審査に通らなければ借り換えすることはできません。
・転職をした
・借金ができた
・高齢になった
住宅ローン返済中に上記のような状態にある場合には、審査に通らない可能性も高くなります。
したがって、借り換えを検討する場合には自身の近況を整えておくことも重要です。
借り換えるための費用がかかる
住宅ローンの借り換えには費用がかかります。
それは住宅購入の時と同じ諸費用です。
・保証料(融資手数料)
・事務手数料
・印紙代
・登録免許税
・司法書士費用
つまり住宅ローンの残債に加えて、上記諸費用についても資金計画を練る必要があります。
住宅ローン控除額が減る可能性がある
借り換えによって住宅ローン控除額が減る可能性があります。
したがって、住宅ローン控除は返済期間10年以上が条件という点に注意して借り換えしましょう。
つまり、借り換え後の返済期間が10年を切ってしまう場合、住宅ローン控除は適用されないため、期間短縮を伴う借り換えの場合には事前に確認が必要です。
住宅ローンの借り換えシミュレーション
住宅ローンの借り換えについて実際にシミュレーションしてみましょう。
【現在利用中の住宅ローン】
・当初借入額:3,000万円
・適用金利 :1.675%
・返済期間 :35年
・ローン残高:1,925万円
・残存期間 :20年
・月々返済額:9万4,448円
・年間返済額:113万円
今回は一般例として、上記の条件で住宅ローンを借入れた場合のシミュレーションになります。
借り換えをしなかった場合、残りの20年間での総支払額は2,266万円になりますが、返済期間20年で借り換えをした場合の返済額がいくらになるのか確認しましょう。
月々返済額 | 年間返済額 | 借り換え後20年間の総返済額 | |
0.5% | 8万4,303円 | 101万1,636円 | 2,023万2,720円(約243万円減) |
0.6% | 8万5,138円 | 102万1,656円 | 2,043万3,120円(約223万円減) |
0.7% | 8万5,978円 | 103万1,736円 | 2,063万4,720円(約203万円減) |
0.8% | 8万6,823円 | 104万1,876円 | 2,083万7,520円(約183万円減) |
0.9% | 8万7,674円 | 105万2,088円 | 2,104万1,760円(約162万円減) |
1.0% | 8万8,530円 | 106万2,360円 | 2,124万7,200円(約142万円減) |
上記のとおり、同じ返済期間で比較した場合は借り換え先の金利が安いほど、月々返済額と総返済額は比例して下がっていくことがわかります。
本シミュレーションの金利差は0.675〜1.175%のため、この水準の金利差であれば、借り換えによる効果は大きいといえるでしょう。
このようなシミュレーションは、各金融機関のホームページでも気軽に行えるので、色々なパターンを想定して試してみることをおすすめします。
住宅ローンを借り換える際の注意点
住宅ローンの借り換えにはメリット・デメリットがあることを前述しましたが、それらも踏まえた上で借り換えの注意点についてさらに知っておきましょう。
- ・タイミングによって借り換えるメリットが薄れることがある
- ・住宅ローン残高・残年数を考慮する
- ・団体信用生命保険への再加入も必要になる
主に上記の3点について解説していきます。
タイミングによって借り換えるメリットが薄れることがある
借り換えにはタイミングが重要です。
そのタイミングによっては、借り換えによるメリットが薄れてしまいます。
・借り換え前の返済期間が短い
・借り換え先との金利差があまりない
上記のような状況であれば、借り換えによるメリットは低くなる可能性が高いため、タイミングを改めるべきでしょう。
住宅ローン残高・残年数を考慮する
住宅ローン残高・残存年数を考慮しましょう。
前述しましたが、住宅ローン残高や残存年数によっては借り換えしてもほとんどメリットがないこともあります。
自身の状況に借り換えが得かどうかは、各金融機関の借り換えシミュレーションなどを駆使して、よく検討して判断するようにしましょう。
団体信用生命保険への再加入も必要になる
借り換えにも団体信用生命保険の再加入が必要です。
一部金融機関を除き、借り換えにも団体信用生命保険への加入が必須であり、万が一加入できない場合に借り換えはできないため注意が必要です。
年齢を重ねるごとに健康リスクは上がっていくため、借り換えによる意外なハードルとなる場合も、実は少なくありません。
借り換えを検討すると同時に自身の健康状態についても把握しておくことが重要です。
住宅ローンの借り換えに関するよくある質問
次は住宅ローンの借り換えに関するよくある質問についてまとめました。
- ・同じ銀行内で住宅ローンの借り換えを行うことは可能?
- ・住宅ローンを借り換えた方がいい金利差はどれくらい?
- ・住宅ローンの借り換えに回数制限はある?
今回は上記3点についてご紹介します。
同じ銀行内で住宅ローンの借り換えを行うことは可能?
同じ銀行内での住宅ローン借り換えは原則として不可です。
理由は、条件を下げることは金融機関にとってメリットがないためです。
ただし金利の引き下げ交渉や返済期間の見直し相談などは可能な場合もあります。
とはいえ、交渉に労力を割くよりも他の金融機関で借り換えをするほうが有益といえるでしょう。
住宅ローンを借り換えた方がいい金利差はどれくらい?
住宅ローンの借り換えをおすすめできる金利差は0.5%以上を目安にすると良いでしょう。
もちろん借り換え条件によって異なりますが、借り換えには諸費用がかかることから、やはり0.5%以上は金利差がないと、その効果は感じにくいといえるでしょう。
住宅ローンの借り換えに回数制限はある?
住宅ローンの借り換えに回数制限はありません。とはいえ、借り換えには諸費用がかかるため、何度もするものではないでしょう。
借り換えは1回、多くても2回までが一般的です。
住宅ローンの借り換えタイミングを理解して返済額を上手く減らそう
今回は住宅ローンの借り換えタイミングを中心に、メリット・デメリットについても解説してきました。
本記事のとおり、借り換えにはタイミングが重要です。したがって、よく理解した上で最大限のメリットを受けられるように検討しましょう。
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