コラム
【2022年版】住宅ローン控除の還付金とは?計算方法やシミュレーションで解説
マイホーム購入は家計の負担になるものの、税の優遇措置によりお得な面があることも事実です。
そこで今回は、住宅ローン控除の還付金について解説します。住宅の購入に不安をお持ちの方は、ぜひとも最後までお付き合い下さい。
住宅ローン控除の還付金とは?
住宅ローン控除の還付金とは、個人が住宅ローンを利用してマイホームの取得やリフォームする際に、所定の条件のもとで所得税(住民税)からの控除を受けられる制度により還付されるお金のことです。
- 住宅ローン控除の上限額
- 住宅ローン控除の控除期間
- 住宅ローン控除の適用条件
- 2022年度以降に適用される住宅ローン控除の概要
上記4点を順番に解説します。
住宅ローン控除の借入上限額
新築/中古 | 住宅の環境性能等 | 2022年 | 2023年 | 2024年 | 2025年 | 控除期間 |
新築 | ・長期優良住宅・低炭素住宅 | 5,000万円 | 5,000万円 | 4,500万円 | 4,500万円 | 13年間 |
新築 | ・ZEH水準省エネ住宅 | 4,500万円 | 4,500万円 | 3,500万円 | 3,500万円 | 13年間 |
新築 | ・省エネ基準適合住宅 | 4,000万円 | 4,000万円 | 3,000万円 | 3,000万円 | 13年間 |
新築 | ・その他住宅 | 3,000万円 | 3,000万円 | 2,000万円※1 | 2,000万円※1 | 13年間 |
中古 | ・長期優良住宅・低炭素住宅・ZEH水準省エネ住宅・省エネ基準適合住宅 | 3,000万円 | 3,000万円 | 3,000万円 | 3,000万円 | 10年間 |
中古 | ・その他住宅 | 2,000万円 | 2,000万円 | 2,000万円 | 2,000万円 | 10年間 |
※1 2024年以降は一定の省エネ基準を満たさなければ適用されない(控除期間10年)
※参考:『令和4年度税制改正の大綱』『国土交通省』
上記の表を見ると、住宅性能・省エネ性能が高いほど住宅ローン控除の借入上限額が優遇されていることが分かります。
省エネ基準適合住宅だと4,000万円になりますが、長期優良住宅や低炭素住宅(以下「認定住宅」)における住宅ローン控除の借入上限額は5,000万円です。では、借入上限額に対して控除額は最大でいくらになるのでしょうか。
以下の表から、住宅ローンの最大控除額を確認しましょう。
新築/中古 | 住宅の環境性能等 | 2022年 | 2023年 | 2024年 | 2025年 | 控除期間 |
新築 | ・長期優良住宅・低炭素住宅 | 455万円 | 455万円 | 409.5万円 | 409.5万円 | 13年間 |
新築 | ・ZEH水準省エネ住宅 | 409.5万円 | 409.5万円 | 318.5万円 | 318.5万円 | 13年間 |
新築 | ・省エネ基準適合住宅 | 364万円 | 364万円 | 273万円 | 273万円 | 13年間 |
新築 | ・その他住宅 | 273万円 | 273万円 | 140万円※2 | 140万円※2 | 13年間 |
中古 | ・長期優良住宅・低炭素住宅・ZEH水準省エネ住宅・省エネ基準適合住宅 | 210万円 | 210万円 | 210万円 | 210万円 | 10年間 |
中古 | ・その他住宅 | 140万円 | 140万円 | 140万円 | 140万円 | 10年間 |
※2 2024年以降は住宅ローン控除が適用されても控除期間が10年間になる
上記の表を見ると、最大控除額は省エネ基準適合住宅だと364万円までとなりますが、認定住宅では最大455万円となり、91万円お得になります。
2024年、2025年は税制改正によって、最も優遇される認定住宅でも住宅ローン控除の借入上限額が4,500万円になるため、最大控除額が409.5万円に引き下げられており注意が必要です。
また、最大控除額は以下の計算式で求めることができます。
最大控除額=借入額×0.7%×控除期間 |
新築住宅の場合、控除期間は13年ですが、中古住宅は10年になります。借入額に対してどれくらい控除できるか気になる人は、こちらの計算式を用いて控除額を算出してみましょう。
住宅ローン控除の控除期間
表で紹介したとおり、住宅ローン控除期間は新築住宅で13年、中古住宅で10年間となっています。年数の経過とともに借入残高が減っていくため、控除額も同様に減っていきます。
住宅ローン控除の適用条件
住宅ローン控除の適用要件は新築の場合、所得が2,000万円以下・主として居住用の住宅であること・引渡しから6ヶ月以内に入居すること・住宅ローン返済期間が10年以上であることなどが挙げられます。
中古住宅の場合、新耐震基準に適合していることが上記の条件に加わることに注意して下さい。
増築・リフォームの場合、上記の条件に加え、一定の省エネ改修・バリアフリー改修・耐震工事などに該当する工事も適用されます。
2022年度以降にされる住宅ローン控除の概要
2022年度以降に適用される住宅ローン控除の概要は、年末残高の0.7%の控除を最大13年間受けられるものです。
借入限度額も減ったことで以前よりも縮小された感は否めませんが、すでに控除を受けている方に今回の制度変更の影響はありません。
住宅ローン控除における還付金の計算方法
住宅ローン控除における還付金の計算方法を以下の通りまとめていますので、借入金を決定する際の参考にしましょう。
- 基本の計算方法
- 控除額に余りがある場合は?
上記2点を順番に解説します。
基本の計算方法
住宅ローン控除額=年末残高×0.7% |
還付金の計算方法は上記の通りとなりますが、住宅性能により借入限度額に上限がある点に注意して下さい。
控除額に余りがある場合は?
所得税から控除しきれなかった場合は住民税から控除されます。
住民税から控除できる金額には上限があり、所得税の課税総所得額金額等の5%(上限9.75万円)までとなることに注意して下さい。
【年収別・借入額別】住宅ローン控除における還付金をシミュレーション
借入額3,000万円 | 借入額4,000万円 | |
年収300万円 | 228万円 | 304万円 |
年収500万円 | 228万円 | 304万円 |
※新築の認定住宅、固定金利1.44%、返済期間35年、元利均等返済、1月返済開始で算出
住宅ローン控除における還付金を年収と借入額別に上記の表の通りまとめていますので、どの程度の負担軽減につながるかを考えてみましょう。
- 年収300万円・借入額3,000万円の場合
- 年収300万円・借入額4,000万円の場合
- 年収500万円・借入額3,000万円の場合
- 年収500万円・借入額4,000万円の場合
上記4点を順番に解説します。
年収300万円・借入額3,000万円の場合
上記の表の通り、13年間で229万円の負担軽減に繋がり、借入額が3,000万円であれば、一般住宅でも同程度の負担軽減効果が期待できます。
年収300万円・借入額4,000万円の場合
上記の表の通り13年間で306万円の負担軽減に繋がりますが、認定住宅ではなく一般住宅の場合では、借入額の上限を超えるため、負担軽減効果が減ることに注意が必要です。
年収500万円・借入額3,000万円の場合
上記の表の通り13年間で229万円の負担軽減に繋がり、年収300万円のケースと比較しても控除額に差は見られません。
年収500万円・借入額4,000万円の場合
上記の表の通り13年間で306万円の負担軽減に繋がります。
認定住宅の借入限度額にはまだ余裕がありますが、月々の返済を考えると、これ以上の借入は家計の負担といえるでしょう。
住宅ローン控除の還付金を計算する際の注意点
住宅ローン控除の還付金を計算する際の注意点は、自分たちが建てたい家の住宅性能を把握しておくことです。
省エネ性や住宅性能が高いほど借入限度額が優遇されていることが理由に挙げられます。
住宅ローン控除の申請に必要な書類
初年度の確定申告に必要な書類をまとめていますので、期日までに準備して慌てないようにして下さい。
- 確定申告書
- マイナンバーカード(通知カード+本人確認書類)
- 登記事項証明書
- 請負契約書の写し
- 源泉徴収票
- 残高証明書
- 認定通知書の写し(認定住宅の場合)
住宅ローン控除の手続きの流れ
住宅ローン控除を受けるには、初年度(入居した翌年)に確定申告する必要があり、2年目以降は年末調整のみで控除を受けられますが、税務署へ手続きが必要となります。
税務署での手続きの流れは、以下の通りです。
- 先述した必要書類を集める
- 管轄の税務署で確定申告を受け取り提出
- 還付金が発生した場合は手続き完了後に指定口座へ振り込まれる
手続きの際は、必要書類に漏れがないよう注意しましょう。
住宅ローンの計算に関するよくある質問
住宅ローンの計算に関するよくある質問をまとめていますので、疑問点を自分たちに置き換えて、家づくりに臨みましょう。
- 住宅ローン控除の還付金は結局いくら戻るの?
- 住宅ローン控除の還付金はいつ戻るの?
- 住宅ローン控除の還付金が「少なすぎる」と感じたらどうする?
上記3点を順番に解説します。
住宅ローン控除の還付金は結局いくら戻るの?
還付金がいくら戻るかは、借主の年収やローンの条件、住宅のタイプによります。
還付金なので納税額を超える金額は戻りませんが、年収400万の方で200万、年収600万の方で300万くらいの受取りは可能ですので、確定申告をする価値は十分にあります。
住宅ローン控除の還付金はいつ戻るの?
初年度の確定申告分は、申請後の1〜2ヶ月程度で指定の口座に振り込まれ、2年目以降の年末調整分は12月の給与に還付金額が反映されます。
住宅ローン控除の還付金が「少なすぎる」と感じたらどうする?
還付金の金額に疑問を持ったら、所得税を確認してみましょう。所得税を超える金額は還付されません。また所得税で控除しきれなかった分は翌年の住民税から引かれます。ただし前述の通り上限額があります。
住宅ローン借入時は控除額も確認しよう
住宅ローン控除を当てにした返済プランを立てることはおすすめできませんが、制度を最大限活用するためにも、控除額を確認して家づくりに取り組むことをおすすめいたします。
四季工房では、住宅ローンのシミュレーションも行っております。家づくりでお悩みの方は、お気軽に住宅展示場へ足をお運び下さい。